頭痛の種類
日本人の3人に1人が頭痛に悩んでいる、というデーターもあります。
頭痛は大きく分けて2種類、頭痛もちの頭痛である、一次性頭痛、と他の原因の二次性頭痛があります。
また、一次性頭痛は肩こりなどが原因の緊張型頭痛、今回のテーマの片頭痛、男性に多い激痛が特徴の群発頭痛に分けられます。
片頭痛の薬
片頭痛の原因は色々で、薬の効果も人それぞれです。
その中でも特に注意して頂きたい方は、頭痛発作時の治療薬(解熱鎮痛剤やトリプタン製剤)を月10日以上使っている方と、それでも治らない、という事で予防薬を6か月以上使っている方です。
前者の方は薬物乱用頭痛になっている可能性もあります。
また、予防薬はロメリジンやバルプロ酸と色々な種類がありますが、「日常生活への支障がなくなったら一旦本剤の投与を中止し、投与継続の必要性について検討すること。症状の改善が認め
られない場合には、漫然と投与を継続しないこと」とあります。
片頭痛の予防薬は予防のためにちょっと飲んでおこう、という気軽なお薬ではないので、長期服用の方は減薬の努力をした方が良いですね。
ただ、やはり片頭痛持ちの方は、強めのお薬でないと日常生活が困難になりがちなので、減薬の提案をしないクリニックの方が多数派だと思います。
また、片頭痛持ちの方は緊張型頭痛との混合型の方もみえます。
こちらは、後述しますが、発作の治療薬の服用の際、注意が必要です。
他に、最近は、効果の高い注射薬なども出てきましたが、もちろんそちらを使用している方は重度の片頭痛持ちの方ですので、ぜひ、こちらの記事を参考に対処して下さいね。
また、ここに当てはまらない方にも参考になる事はありますので、ぜひお読みください。
片頭痛の治療で大切な事
まず、大切なことは、片頭痛の原因は理解していますか?
例えば、家が雨漏りしていたら、雨漏りの原因を治す事が大切です。
ですが、そうは言っても、今雨漏りしていたら上から垂れてくる雨をどうにかしないと家の中はビショビショですよね。
とりあえず、バケツを置くなり、何か対処も必要です。
片頭痛の発作時の治療薬はどれも、このバケツの様なもの、と思って下さい。
では予防薬は?
何と答えるか難しくなってきましたが、養生シートを被せたり、雨で家が腐らない様に、屋根裏全体を防腐剤で固めているイメージでしょうか。
重要な点は、片頭痛薬の発作時の薬も予防薬も、雨漏りを起こしているいる穴を見つけて治す、といった、原因を治している薬ではない、という事です。
片頭痛の発作時の薬は、例えば、大きいバケツを置いて、家の中が水浸しにならず助かった、という感じです。
これで安心!という感じではない事をご理解下さいね。
早く穴が空いている場所を探して、原因から治しましょう。
また、そうは言いましても、たとえ話は屋根ですが、実際は人間です。
月1,2回以下の頭痛薬の使用で対処できている方は、年齢、環境の変化などで、上のお話の「穴」の様な原因は自然治癒力で治る事もあります。
また、頭痛薬の乱用が主な原因で、片頭痛が酷くなってしまった方も、適切な薬の服用で改善していくと思います。
しかし、そうでない、治らない片頭痛持ちの方は、原因を放置した結果、その原因から他の疾病が発生したり、片頭痛の薬の副作用で他の疾病が発生するかもしれません。
もちろん、ご本人は片頭痛との関連は感じてみえませんし、クリニックも科が違うと関連性を考えて、本当の原因から対処しよう、という事になりません。
別々に違う薬が増えるだけ、となります。
そんな事にならない様に、自然治癒力などで治らなかった方は、がんばって原因から対処して下さいね。
西洋医学には色々な学説がありますので、参考までに載せておきますが、
原因からの治療は、東洋医学が得意分野です。
そこをじっくり読んで、対処をして下さい。
西洋医学での片頭痛の原因・三叉神経説
まずは、片頭痛の原因として、西洋医学では三叉神経説があります。
何らかのきっかけで、三叉神経終末が刺激され、脳の血管が急激に拡張することで引き起こされると考えられています。
そして、神経末端より炎症物質を放出し、その炎症物質が末梢に広がり、発生した痛みのシグナルは中枢に伝わり、大脳で痛みとして感じます。
血管の拡張が先か炎症が先かは不思議な所で、あくまでも仮説でしょうね。
また、ここでとても大切な事は、「何らかのきっかけ」と「血管を拡張・炎症」という部分です。
2つの要因
まずは「何らかのきっかけ」を根気よく探しましょう。
こちらは東洋医学では内因、外因といいます。
内因は自分側の原因、外因は環境要因です。
自分側の原因は治そうと思えば体質改善が必要ですが、環境要因はどうにか自分で工夫でる場合もあります。
環境要因を知る為に、あらゆる片頭痛の話で頭痛日記が推奨されていますが、こちらが一番効果的です。
・・・というか必須くらいでしょう。
このブログを読んで、とにかくどうにかしなくては、と思った方は「頭痛日記 ダウンロード」と検索してプリントアウトして下さいね。
さて次は、「血管を拡張・炎症」についてです。
こちらも重要です。
何らかのきっかけで、三叉神経終末が刺激され、血管が拡張します。
こちらの問題に対処するのが、片頭痛の発作時の薬、
トリプタン製剤です。
脳血管、三叉神経のセロトニン5-HT受容体を刺激し、拡張した脳血管を収縮します。
ちなみに、他の血管も収縮しますので、
こちらは副作用となります。
トリプタン製剤を服用すれば、
そこから先の反応は起こりませんし、
苦痛な拍動性の頭痛に対処できますが、
服用しない場合は神経原性の炎症が起こってしまいます。
また、片頭痛持ちの方では、痛みを感じる部分を冷やして調子が良くなる方が多いですよね。
炎症なので、冷やすと良くなります。
ですから、抗炎症の効果がある非ステロイド系の鎮痛剤が効きます。
本当は副作用が少ないアセトアミノフェンで対処できると良いのですが、
こちらは解熱と鎮痛はしてくれますが、抗炎症はありません。
どちらが良く効くかで、炎症度合の目安になりますね。
ロキソニンやイブプロフェンなどを、月に10日以上使う、
という事が割と炎症が酷いのではないか、という事も推測できます。
また、予防薬を毎日服用している方は、強制的に血管の拡張や炎症が起っていないだけですので、
自分は何らかの炎症を持っている体質だ、という自覚が大切になってきます。
西洋医学での片頭痛の原因・血管説
そして、西洋医学での頭痛の原因、もう1つは、血管説です。
こちらは、何らかのきっかけで、神経伝達物質のセロトニンが過剰放出され、脳血管が収縮した後、セロトニンが代謝分解され、不足し、脳血管が拡張する事から起こる、とされています。
また、脳の神経細胞の活動異常が原因、という考え方の神経説もありますが、今の所は、三叉神経説と合わせた、三叉神経血管説が有力な様です。
東洋医学での片頭痛の原因
次に東洋医学的な原因ですが、こちらはバリエーション豊富で細かくなると、書ききれませんので、良くある原因だけかきます。
まずは、前回お伝えした外因と内因についてです。
外因は、原因になる「何らかのきっかけ」に関係あります。
そして、残念ながら、こういったきっかけだけの片頭痛は少数派だと思います。
必ずそこには体質の異常(内因)もありますので、そこも参考にしてください。
外因
まずは外因の対処法からお伝えしますね。
外因は環境の変化(季節、天気、光、臭いなど)や習慣の変化(睡眠不足、ダイエットなど栄養不足、食べすぎ、片頭痛を誘発する食材の摂取、運動不足、過労)などです。
こちらの原因は、頭痛手帳で解る場合も多いです。
上記の要因を減らすだけで片頭痛が良くなる事もあります。
しかし、習慣は変えやすいですが、天候などの環境は難しい場合もありますので、その時は体質改善が必要です。
内因
次は内因、自分側の要因です。
こちらは、色々と多いので今回は3つだけ書きます。
1つ目の要因は、生理周期に合わせて頭痛が起きる方です。
閉経に伴い片頭痛も収まっていく事も多いですが、まだまだ先の方はそれまで大変です。
頭痛日記の他に基礎体温もつけると参考になります。
こちらのタイプは漢方薬で生理にまつわる不調を治すと良くなる可能性もあります。
また、女性ホルモンはセロトニン不足や血の滞りを生みますので、次の記載も参考にして下さい。
2つ目は血行不良から起こるタイプです。
東洋医学では血液の滞りを瘀血といいまして、痛みの要因の一つとされています。
刺すような痛み、場所が決まっている、固定性の痛みである場合が多いです。
緊張型頭痛ではなく、片頭痛ですので、もちろんこれだけが原因ではないと思います。
こちらは、最初の方にお伝えしましたが、薬の使い過ぎに陥りやすく、そちらの理解も必須です。
記事をよく読み、今、どの薬を使うべきか?、薬を使う前に何か出来る事はあるか?
をよく考えて、対処して下さいね。
そして、じゃあ、ストレッチだけで治るか、薬を飲まず、じっと我慢するか、というと難しい場合もあると思います。
漢方薬などの、西洋医学以外の何かも使い分けて利用する必要がありますし、
漢方薬を服用しても、色々な要因で、どれにするか?を選ぶのも時間がかかる場合があります。
すぐ治らなくても、根気よく対処して下さいね。
3つ目は、炎症傾向がメインの方です。
炎症、なので冷やすと頭痛が落ち着く特徴があります。
こちらは難治性の方も多くみえます。
まずは、なぜ炎症傾向か?を考えて下さい。
こちらも様々ですので、一言で言いづらい所ですが、片頭痛は閉経などの女性ホルモンの減少で軽快する事もありますので、女性ホルモンが減少する様な年齢になっても、軽快しないのであれば、加齢も原因の一つかもしれません。
年齢が減ってくると、体の血や体液が減ってきます。
また、お若い方でも、色々な要因で強度の貧血の方もみえます。
体を冷ます体液が減ると、炎症傾向になりやすくなります。
東洋医学では、こういった体質を陰虚といい、慢性の炎症が起こりやすくなります。
40歳以降の方ですと、こちらの要因もでてきます。
そして、血液が減ると血流も悪くなりますので、混合型にもなりやすく悪循環にもなります。
また、年齢に限らず、アレルギーの様な免疫反応も炎症の要因になります。
花粉症などの表立ったアレルギーがなくても、体のどこかの免疫系の炎症が関係している場合もあります。
他に、過剰なストレスも五臓の肝が熱を持ち、肝火という炎症傾向を生みます。
どちらも、体質虚弱の方や、過労で体が疲れている方に起こりやすい現象ですので、こつこつと根気よく生活習慣の改善、体質の改善をする事が大切です。
高齢になり、強い炎症傾向も起こさなくなると片頭痛も収まってくるかもしれませんが、それまでまだ年数がある方は、ぜひ根気よく対処して下さいね。
ちなみに、片頭痛の漢方薬で有名な呉茱萸湯。
こちらは、温めて血行を良くするタイプです。
炎症タイプの方が連用しても、良い事はないと思いますので注意してください。
漢方薬で治そう、と思った時の注意点
そして、では漢方薬で治そう、と思った場合、何処に行けば良いのか?
答えは、漢方薬は体質により選びますので、漢方の体質診断のできる所に行ってください。
慢性病の体質診断ですと、少なくとも30分はかかると思います。
(私は丁寧に1~2時間かけております)
はい、この片頭痛の漢方薬のんで下さい、とすぐ決めてくれる所は体質診断をしていない可能性もあります。
また、体質診断以外に生活習慣のアドバイスも必要です。
外因を良くしていく、という作業です。
ですから、こちらをしていないと、漢方薬で体質改善をしても、食事内容や生活習慣で逆の事をして、なかなか治らない方もみえますのでご注意ください。
ぜひ、体質診断もでき、色々とアドバイスをくれる漢方薬局さんを選んで行って下さいね。