気血水弁証とは
東洋医学での漢方治療において大切なものの1つが証の見立ててです。(体質診断の様なもの)
今回は弁証の中でも一番捉えやすい気血水(津液)弁証についてです。
例えば、病院で処方せん薬をもらう時、血液検査をしてコレステロールが高い、と分かるとコレステロールを下げるお薬がでますよね。
漢方薬も、その様な診断が大切なのです。
病院で血液検査をすると、様々な数値がでます。
コレステロールだけでも、HDL、LDL、総コレステロールと3つもでてきます。
また、血液に関する事だけでもヘモグロビンを始め、5つ以上でてきます。
ヘモグロビンの値が低いと「貧血」と診断され、鉄剤が処方されます。
このような診断に必要な成分が、東洋医学ではたったの3つ(4つの場合も)になります。
そちらが「気・血・水」です。
そして、この3つが、足りているか、不足しているか、を判断するのが「気血水弁証」になります。
気とは
まず、気について説明しましょう。
シンプルに説明すると、気は陽気といい、生命活動のエネルギーとなります。
・・と短い説明では、なんの事はわかりませんよね。
気とは何なのか、が分かりずらい所ですし、東洋医学の本でも気は色々な表現がされている上に、文章によって表している気が違う場合もあります。
そんな、最初はつかみどころがない感じの気ですので、西洋医学側から見ると、ともすればオカルトなってしまいます。
まずは、気とは体の中でどんな働きをしているものか説明しますと、推動・温煦・防御・固摂・気化の作用となります。
1つ1つの作用はここでは割愛させて頂きますが、分かりやすく、西洋医学用語で言うと、代謝・免疫・ホメオスタシス、エネルギーあたりの機能と考えると良いと思います。
血とは
次は血です。
チではなくケツとよみます。
こちらは西洋医学の血液とイメージは似ています。
血の方は血液から水分を抜いたもののイメージです。
そして測定の仕方が違いますので、ここが一番の注意点です。
病院での血液検査は、体の血液から数ml抜いた血液の成分を調べますので、あくまでも分かるのは血の濃さです。
一方、東洋医学の血は体にどれくらいの量があるかを見て行きます。
ですから、西洋医学で貧血でない方も、東洋医学では血の不足、となる方も多くみえます。
また、東洋医学での血液は、気、血、水をすべて含み体を循環しているイメージとなります。
水とは
水は津液ともいい、体の中の水分の総称です。
飲食から入ってきた液体部分が体に入り水となります。
先程の血と水(と精)を合わせて、体の陰液で、体を構成する物質面となります。
西洋医学では体液の水分は熱中症の時くらいしか重要視していませんが、東洋医学の診断では常に重要視する部分です。
余分な水が体に悪く作用して調子をくず場合が多いからです。
健康の為に水を飲むと良い、と言われますが、それは体に余分に水がある方には悪く作用します。
まとめ
血液検査でも各項目に基準値という数値がかかれていますが、東洋医学の気血水も丁度良い量があります。
ですから、気血水の見立てなしで漢方薬を服用する、という事は、先ほどの、水が余分にある人に、水を飲めとアドバイスする事になり、その結果、何かの不調の原因になります。
漢方薬は必ず、弁証という体質診断をしてもらえる所のアドバイスの元に利用しましょう。